学生時代から続けてきた山登り、いつの頃からか日本百名山を目指すようになっていた。会社を定年退職したときに百名山完登まで残り11山になっていて、このうち9山が北海道の山だった。
 退職して1年後に思いがけず1ヶ月間の自由な時間ができたので、9山を全部登ろうと思って車で出かけた。
平成17年8月30日〜9月27日




北海道 山めぐり旅 1





第1日目  8月30日(火) 晴     460q  460q
川崎〜常磐道〜仙台〜石巻
 急ぐ旅ではないので、高速道路はなるべく使わないつもりだった。でも、東京都内の道はよく分からないし渋滞を避けるため、川崎で首都高速に入り常磐高速道を水戸まで走る。
 国道6号線を相馬・仙台・松島を経て石巻へ夕刻に着いた。この日の泊まりは石巻郊外の道の駅「上品の郷」。ここには温泉施設が併設されている。温泉に浸かってからレストランで食事後、車内を宿泊用に準備して就寝。1ヶ月におよぶ長い旅の第一夜である。



第2日目  8月31日(水) 晴     334q  794q
石巻〜陸中海岸〜青森県階上町
 陸中海岸はこれまで何回か車で訪れたことがあるが、北山崎は今回初めて訪れた所であるが、海岸線が入組んでいるアス式海岸の断崖絶壁の地であった。
 岩手県から青森県に入ってすぐの町 階上町の道の駅「はしかみ」がこの日の泊まり場。



第3日目  9月1日(木) 晴後曇り     288q  1082q
青森県階上町〜大間〜函館〜恵山岬〜大沼湖畔
 マサカリのような形をした下北半島の一番突端が大間崎。大間は近年マグロ漁で有名になり、テレビにも度々登場し、日帰りの温泉も出来ている。温泉に浸かってから、マグロの刺身定食で昼食。美味だった。
 40数年前北海道へのサイクリングの時に函館へのフェリーを待つ間、この港で泳いだことが懐かしい。 
 函館でカーフェリーを降りて、函館市街地を抜けてから恵山岬をぐるっと回って、この日は大沼湖の湖畔のキャンプ場でテント泊。 
大間の街並み 大間崎弁天島灯台 フェリーに乗船
 北海道に入って、まず驚いたのは道産子ドライバーのスピード。一般道を70キロで走っているのに、どんどん追い越される。しかも軽自動車にもである。それではと、80キロにスピードを上げても後ろにピッタリくっ付かれる。北海道の交通事故が多いことに頷かされた。でも、数日のうちにすっかりこのスピードにハマッテしまった。



第4日目  9月2日(金) 曇り     308q  1390q
大沼湖畔〜江差〜北檜山〜長万部〜羊蹄山登山口
 深夜に降り出した雨は明け方には小雨になっていたが、雨の中でのテント撤収になった。
 昔ニシン漁が盛んだった頃に栄えた江差。メーンストリートは街路がモール化されていて電線や電話線が地下に埋設され電信柱がない。建物がみんな真新しい。夏休みが終わった平日で街中は観光客もなく、ひっそりしている。旧中村家住宅を見学
江差の街並み 江差の街並み 江差の街並み
 数年前に津波で大被害を受けた奥尻島をはるかに見ながら北上し、北桧山で日本海に別れて太平洋側の長万部に向う。
 この日は、羊蹄山の真狩登山口のキャンプ場で車中泊。



第5日目  9月3日(土) 曇り     98q  1488q
羊蹄山登山口〜後志羊蹄山登山〜岩内〜西の河原駐車場
 蝦夷富士とも呼ばれる後志羊蹄山(しりべしようていざん)は富士山に似た円錐形の山である。朝からどんより曇っているが、山頂を目指して登って行く。今回の北海道山めぐり旅の最初の山であり、久しぶりの山登りでどうにも調子が上がらない。夏休み後の最初の土曜日で登山者は多く、どんどん追い越されていく。二言三言言葉を交わした仙台からの高齢者にも置いていかれてしまった。
 山頂近くの避難小屋に着く頃にはキリが出てきて見通しが利かない。岩場を慎重に登って山頂に着くのに5時間もかかってしまった。山頂では、岩見沢で英語教師をやっているというイギリス人の若者と暫しの歓談(片言の日本語で)。
 下山後、車で10分程走って真狩温泉に浸かってから、ちょっと遅い昼食。真狩村は細川たかしの出身地であり、「細川たかしを讃える碑」が建っていてちょっとした観光スポットになっているようだ。
後志羊蹄山 山頂 細川たかしを讃える碑
 この日は、神恵内の道の駅で泊まるつもりだったが、現地に行ったら改装中のため休業で駐車場にも入れない。やむなく8時過ぎの真っ暗な雷電国道を積丹岬に向って走り、西ノ河原トンネル近くの非常用駐車場で車中泊。ラジオから朝鮮語の放送がよく聞こえるが、何をしゃべっているかむろん分からない。



第6日目  9月4日(日) 晴     328q  1816q
西の河原駐車場〜積丹半島〜小樽〜旭川〜旭岳温泉
 積丹半島
 昔、日活の映画が全盛期だった昭和30年代半ばに、積丹半島を舞台にして小林旭や宍戸錠が活躍していた映画があったっけ。 懐かしいなァ・・・・
積丹の街並み 積丹岬 積丹岬 積丹岬
 小樽や札幌も観光したかったが、今回の旅の主目的は山登りであり、札幌の市街地を地図を見ながら走るのが嫌だったこともあって、小樽で高速道に入った。小樽や札幌のビル群を眺めながらアッという間に岩見沢に着いた。岩見沢から国道12号を走り旭川市街地をかすめるようにして富良野国道に入る。
 美瑛で明日の旭岳登山に備えて食料を調達。すっかり陽が落ちてから着いた旭岳温泉の大駐車場は、山登りとおぼしき人が出入りする本州ナンバーの車が3台ほど停まっている。



第7日目  9月5日(月) 晴     77q  1893q
旭岳温泉〜旭岳登山〜美瑛〜十勝岳望岳台
 大雪山連山の最高峰が旭岳で標高2290m、北海道の最高峰でもある。
 旭岳温泉で乗ったロープウェイはわずか10数分で標高1600mの姿見駅に着いた。緩やかな遊歩道を行くと姿見の池、噴煙が真っ青な青空に映え池に映っていて美しい。姿見の池からは急な火山礫の道で高山植物はまったくない。2時間ほどで金庫岩と呼ばれる岩を回り込むようにして山頂に着いた。
 広い山頂からの眺めは素晴らしい。北側には北鎮岳、愛別岳や黒岳、南側にはこれから登る十勝岳やトムラウシ山が望まれる。広島から来たと言う中高年の登山グループは、これから黒岳を経て層雲峡まで歩くとのこと。みんな元気だ。車を旭岳温泉においてきているので、ここで往路を戻ることにする。
旭岳 姿見の池 山頂 山頂からの大雪連峰 山頂の風景 姿見からの旭岳
 旭岳から下山後、旭岳温泉に浸かってから美瑛の丘へ向かった。
 ここは北海道らしい雄大な光景を見られる所なので観光バスがひっきりなしにやって来る。コスモスがきれいだった。
 望岳台は美瑛から車で1時間ほど走った十勝岳中腹の標高930mの地。ここから眺めた美瑛や富良野の丘陵地帯に沈む夕陽がきれいだった。
美瑛の街並み 美瑛の丘 美瑛の丘 十勝岳望岳台 富良野に沈む夕陽



第8日目  9月6日(火) 晴     5q  1898q
十勝岳望岳台〜十勝岳登山〜白金温泉キャンプ場
 望岳台から十勝岳避難小屋までは火山礫や泥流跡のややゆったりした登山道だったが、小屋から尾根までは急坂のガレ道であった。尾根からは十勝岳直下まで火山灰の平坦な稜線大地が続くが、次々と火口が現れ火の山の臨場感を昂めてくれる。
 望岳台から4時間ほどで着いた山頂からの眺望は素晴らしく、十勝連峰の山々はもちろん大雪や日高山脈がはるか遠くに浮かんでいる。山頂では、栃木県からワゴン車で車中泊しながら北海道の山登りをやっているという夫婦と一緒になり、車中泊のノウハウをいろいろ教えてもらった。
十勝岳 山頂からの眺め 山頂からの眺め 山頂にて 白金温泉キャンプ場
 十勝岳から下山後、白金温泉キャンプ場に車で移動してからテント設営。その後温泉に浸かってからホテルのレストランで夕食。今夜は久しぶりにテレビを見ながら豪華な夕食だった。天気予報は台風が北海道に上陸しそうだと放送している。


 
第9日目  9月7日(水) 雨     174q  2072q
白金温泉〜吹上温泉〜富良野〜トムラウシ温泉
 夜明け前から風雨が激しくなってきた。天気予報によると台風が北海道を直撃するとのことだ。またまた雨中のテント撤収になってしまった。しかも今回は風が強いので厄介だ。
 白金温泉からほんの少し走った道路沿いの林の中にある吹上露天の湯は、秘湯中の秘湯といわれている。10数年前にテレビドラマ「北の国から」で田中邦衛と宮沢りえが入浴したことで一躍有名になった無料の混浴露天風呂。小降りになった雨の中行ってみたら地元のおじさんとおばさんが浸かっていて、「冬は雪を掻き分けて入りにくるんだ。」そうだ。小雨の中で浸かったみたらちょうど良い湯加減だった。
 台風が接近するとともに雨が強くなり風も激しさを増す中、南富良野から狩勝峠を越えてトムラウシ温泉へ向った。今宵の宿はトムラウシの国民宿舎東大雪荘。この旅に出てから初めての宿だが、温泉も食事もよくて、布団の上でぐっすり眠れた。



第10日目  9月8日(木) 雨のち晴     8q  2080q
トムラウシ温泉〜トムラウシ登山口
 午後になって台風が通り過ぎ、雨が上がり時折り陽が出てきたので、トムラウシ山短縮登山口に向って車を走らせる。未舗装の道を20分ほど行くとバイオのトイレがある広い駐車場に着いた。今夜はここで車中泊。
 この日の夜は時々台風一過特有の強い風が吹いていたが、都会では見られないような満天の星空だった。


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