ぶらり九州

第 5 週2
4/24〜4/26

天草下島
長 島
阿久根
麓武家屋敷
 


 

 第33日 4月24日  晴        走行106km 累計3,450km
 大江天主堂 崎津天主堂 牛深   (泊)道の駅「長島」(鹿児島県)


大江天主堂
農村地帯の中にひときわ目を引く白い教会が建っている。大江天主堂は、キリスト教伝道に生涯をささげたガルニエ神父が昭和8年に建てた教会。ロマネスク様式の白い建物は荘厳な気持ちにさせてくれる。
教会の中に入ると、高い天井にステンドグラスが映えているが、ここは祈りの場なので写真を撮ることは出来ない。居合わせた僧衣を纏った尼僧は、この教会へ来て3年になると言っていました。






崎津天主堂
大江天主堂は農村地帯の教会だが、崎津天主堂は漁村地帯の教会。
この教会は海から眺めた姿がいいと勧められて漁船に乗った。生憎観光客が居合わせなかったが、船頭さんとあれやこれや言葉を交わしていたら、通常は3人以上だが一人でもいいよと言って船を出してくれた。
なるほど、漁村風景を前景にした教会はとてもきれいでした。



船頭さんは、さらにマリア像が見える所まで連れていってくれた。マリア像はクリスチャンの漁師が費用を出し合って立てたもので、漁師は漁に出るとき帰るときにマリア像に向かって手を合わせているそうだ。



崎津にはめずらしい光景がありました。
カケと呼ばれる海に迫り出した台のようなもので、漁師はここで漁網の繕いや魚を干したりしている。昔はたくさんあったそうだが、現在では19ヶ所になってしまった。
も一つはトーヤと呼ばれるもの。土地が狭い崎津では家が密集しているので、海へダイレクトに出られるように家々の間に幅1mほどの通路を設けてあり、こんな通路が40ヶ所もある。
これらは昨年国の重要文化的景観に認定されている。
 カ ケ    トーヤ   トーヤの案内板 


トーヤの写真を撮ったりして街を散策していたら、おばちゃんに「お茶でも飲んでいきなさいよ」と声をかけられた。そこはNPOが運営する「郷土文化伝承館 南風屋(はえや)」 
 
中に入ると5〜6人のおじさんおばさんがいていずれも70歳前後といったところ。それぞれが持ち寄ったもので食事をしている。「食べなさいよ」と盛んに勧めてくれるが、あいにく昼食を済ませたばかりなのでお茶とおかしをいただく。
 
ここで、この街のトーヤやカケについて懇切に教えてもらいました。帰りがけにデジカメの写真を見せたら、インターネットに載っかったら見たいという。この中の2人がインターネットを出来ると言うので、ホームページのアドレスを教えてきました。 (後日、HPを見たとのメールが来ました。)
  




牛 深
ここは昔イワシ漁で栄えた町。その痕跡が残っているらしいことを2日前に会ったバッタ作りの男から聞いていた。
牛深の観光案内所へ行って尋ねてみた。応対に出た若い女の子が首をかしげていると、中から中年の男が出てきて、歩いても20分ぐらいの所だと教えてくれる。
 
予備知識は、牛深がイワシ漁で栄えた町で一大歓楽街があったことだけ。
それと思しき場所へ行ってみると、狭い通路にスナックや小料理屋がやたらと多い。でも、みんな新しい店構えでイワシ漁で栄えたころの痕跡にはほど遠い。
そんな時、電気工事を終えたばかりの60台半ばの男に出会った。
昭和30年頃まで、北海道がニシン漁で栄えたように、牛深はイワシ漁で大変な賑わいであった。牛深には巻き網船団が53〜4もあり、1船団に網を上げる船が5〜6隻だから大変な数の船でしたよ。なにしろ当時全九州で2番目の高額納税者が出たほどですから。
今いるこの付近は飲み屋街が軒を連ねていて、遊郭が何軒もあって海が荒れて漁に出られない日などは昼間から賑わっていた。今、当時の遊郭が残っているのは朽ちかけた2軒だけになってしまいました。
最後に、「あなたは私に尋ねてラッキーですよ。私は昔漁協に勤めていましたから」

飲み屋やスナックが多い


飲み屋街を通り過ぎると元遊郭が2軒残っていた
 



牛深からフェリーで鹿児島県長島へは30分の船旅。
今日の泊まり場 道の駅「長島」のレストランで夕食。こういった所のレストランは普通夕方5時頃には閉店してしまう所が多いが、ここは開店が5時で閉店が10時。それはこの辺りにはお店がないので近在の人が仕事が終わった後に、家族や友人で飲んだり食べたりする場であるかららしい。
 
隣りに座った6人の男女と目が合い、誘われるままに彼らと一緒に食事をすることになりました。
彼ら男性は中学校の同級生で月に1〜2回妻を伴ってこのような集まりをやっているとのこと。彼らはジャガイモ生産農家で「ニシユタカ」という品種を生産しているそうだ。  
旅に出ての一期一会もまた楽しいものです。 



 第34日 4月25日  雨        走行33km 累計3,483km
 移動               (泊)阿久根市 ビジネスホテル


天気予報どおりに朝から雨が降り出した。長島温泉が開くのを待つように温泉に入る。一番風呂はやっぱり気持ちが良いものだ。温泉から上がって館内のレストランで早目の昼食。今日もまた海鮮丼。
 
天気予報はますます悪い予報を伝えている。今夜は風雨強く所によっては雷警報も出ている。今夜はどこか宿に泊まることにして阿久根に向かい、阿久根市役所近くのビジネスホテルに午後2時にチェックイン。
ホテルでトコヤの場所を聞いてトコヤへ行く。この旅に出て初めての散髪。とても78歳とは思えないいかにも職人然とした人だったが、かなり入念にやってくれる。シャンプーや髭剃りなどは、全て弟子と思しき若い女性に任せて職人肌の老理容師は調髪だけに専念している。まさに職人。
 他に客がいなかったこともあって、調髪後お茶とお菓子を勧められてお話し。
阿久根は前市長の動向をめぐって度々マスコミで報じられた地であり、新市長に替わってどうですかと聞いたら、選挙中はとにかくうるさかった。右翼の街宣車が連日大音量でが鳴り立てていて非常にうるさかった。選挙が終わって町に静けさが戻ってきた。市長が替わったからといってすぐに町が変わることなんかないですよ。
 
ここまで来たのだから、強い風雨の中市役所まで行って、庁舎の写真を撮ってきました。




 第35日 4月26日  晴        走行132km 累計3,615km
 麓武家屋敷 曾木の滝 肥薩線真幸駅   (泊)道の駅「霧島」


麓の武家屋敷
薩摩藩島津氏は軍防と地方行政の目的から外城制度を設けていた。藩内120の外城のなかでも最も規模が大きかったのが出水の麓の外城です。
碁盤の目のように整然と区切られた道路、玉石を積んだ風格ある武家屋敷のたたずまい、風雪を耐えた生け垣や武家門に薩摩の威厳がただよっています。
 
知覧の武家屋敷は観光ツアーの客でごった返していたがここは静かです。武家屋敷を管理している人は「知覧は周辺に指宿や特攻記念館があるからねー、ここは他に観光のポイントがないからね」と言っていました。
NHKの大河ドラマ「篤姫」はここで撮影されたそうで、管理人のおじさんもエキストラで出演したそうです。




  

  

  



曽木の滝
滝幅210m最大落差12mの国内最大級の滝で「東洋のナイアガラ」と称されている。
3週間ほど前に行った大分県の原尻の滝は「九州のナイアガラ」と呼ばれていて、女性的な感じだったが、曽木の滝は荒々しく男性的な感じがする。






JR肥薩線真幸(まさき)駅
宮崎県えびの市の内岳にあるこの駅は周囲には人家がないが、鉄道ファンには「秘境の駅」として知られている。「真の幸せに入る」に通じるとして、 ホームには「幸せの鐘」があり、こちらも観光客の人気を集めています。
肥薩線真幸駅の辺りは勾配の強い区間にあるため、昔は勾配に弱い蒸気機関車のためにスイッチバックで線路が施設され、すべての汽車がこの駅で停車しなければならない。ジーゼル化された現在でもこれは同じです。
 
この駅には「真幸駅友の会」という40人ほどのグループがある。この日も駅舎内で4人が集まっていて、いろんな話を聞かせてくれました。


 


真幸駅は一日に上り下り各5本のジーゼルカーが運行されているが、運よくちょうど観光列車「いさぶろう・しんぺい号」が入ってきた。平日のこの日は2輌編成だが、休日は4輌が満員になるそうだ。7分間の停車中乗客は皆この秘境駅の写真を撮りに表に出て行き、車掌さんが閑そうにしていました。
  




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