( 東京都青梅市 平成29年6月20日 )
稲葉家は、屋号を「稲葉店(いなばみせ)」と言い、江戸時代には町年寄を務めた家です。材木商を営み青梅縞などの仲買いも行い、最盛期には江戸にも出店を構えていた青梅でも有数の豪商だった。 江戸時代の後期に建てられたこの家は蔵造り2階建ての主屋、東側に門、棟割長屋が並んでいる。門を入った所に井戸があり庭を通って裏手に回ると珍しい3階建ての土蔵が建っている。 |
旧青梅街道に面した稲葉家
青梅街道正面から見た店蔵
主屋の格子戸を潜って中に入ると、間口いっぱいに土間がある。前土間形式と呼ばれ、土間に面した部分が店舗で、その奥が生活部分になっている。 屋内の構造は防火戸の収納部となる袖壁を左右に持つ間口5間半、奥行4間半の1階部分と土戸で守られた窓を持つ梁間4間の登り梁形式の2階部分からなっている。梁や柱には奥多摩の日原から運ばれたシオジと言う珍しい木が多く使われている。 |
登り梁(のぼりはり) この稲葉家は、火事から建物を守るために、周囲を土やシックイ(石灰)で塗って土蔵造りにし、その上に屋根を置いた建物です。 屋根裏に見える、ななめの梁は「登り梁」と呼ばれ2階を広く使えるように工夫されている。柱や梁には、奥多摩の日原から運ばれたという「シオジ」や「ケヤキ」が太いまま使われている。 |