吉 田 家


( 千葉県柏市  平成29年6月9日 )

 吉田家は江戸時代、主に農業を営みながら名主としてこの地域を取り仕切った家柄で、名字帯刀を許された名家でした。敷地面積およそ6,518坪という広大な土地に、建築面積330坪で建てられた吉田家住宅は、江戸末期から明治初期にかけて造られた一連の建物が、庭園や屋敷林と共に残されています。





 吉田家は大規模に農業を営みながら代々名主の職を務めていて、文化2年(1805)から醤油醸造業に進出し、天保2年(1831)からは穀物商を営むなど商人として財をなした。
 江戸幕府御用牧として開設された小金牧の管理にも携わり、野馬奉行の下で文政9年(1826)から明治4年牧の廃止になるまで牧士に任命され、士分格の地位が与えられていた。






 全長25m、幅5mにも及ぶ巨大な長屋門。この門は今からおよそ180年以上前に建てられたもので、総欅造りとなっています。中でも門扉は巨大な欅の一枚板で造られています。






門を潜ると見えてくるのが、およそ桁行20mにもおよぶ茅葺き屋根の主屋

 右手に式台を設けた武家風の玄関、真ん中に突出した帳場座敷、左に豪農風の土間が設けられている。つまり旧吉田家住宅は「武家」「商家」「豪農」それぞれの役割を持つ建物が融合した珍しい造りとなっている。



武家風の玄関






 寄棟造り、茅葺きの大きな建物で、西側に広い土間を設け、中央に店や後ろに帳場座敷、東側に式台が設けられている。式台から渡り廊下を経て書院に繋がっていている。





書院の床の間



書院の欄間と釘隠し(細かい装飾が施されている)



書院の座敷




厠の手洗い



中庭の灯籠


 吉田家は屋敷の半分の土地建物を柏市に寄贈し、「吉田家住宅歴史公園」として一般開放されていて国の重要文化財に指定されている。
 吉田家は相馬一族の出であり、平安時代から続く家系図によれば現在の当主は43代目になり、この邸に隣接した屋敷に住まいしている。



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