吉 良 川



高知県室戸市 平成24年10月13日訪れる

 吉良川(きらがわ)は室戸岬の北西15キロに位置する町で、現在は室戸市に編入されている。昔から木材や薪などの森林資源の集積地として京阪神に出荷していた。
 明治時代から備長炭が生産されるようになり、大正時代になると製炭技術が発達し吉良川炭は日本を代表する良質な備長炭となっていった。京阪神を中心に海路で出荷され、帰りの船で日用品を持ち帰り、その交易で明治から昭和初期にかけて繁栄した。


 旧土佐街道沿いに切妻造の町家が立ち並んでいて、それら家は高い石垣で囲まれている。町家の壁面は土佐漆喰が多用されていて、強い風雨から家屋を守るために「水切り瓦」と呼ばれる小さな庇が設けられている。
 明治後期には船底に積んで帰った煉瓦を使用した壁面も見られるようになった。「つし二階」と呼ばれる天井の低い二階が多く、明かり取りのために「虫籠窓」という桟が取り付けられている。





 町の一画に蔵造りの建物が建っている。明治24年に建築されたこの家は、初代が呉服商を営んでいた重厚な造りの建物である。
 強い風雨から家屋を守るために、水切り瓦という雨仕舞いのための独特の工法が発達した。水切り瓦の小さな庇は壁面に直接雨がかかるのを避け、漆喰の白壁を保護する役目を果たしている。
 今、この家は「蔵空間茶館」を営んでいて、備長炭を使った自家焙煎のコーヒーはとても美味しかった。まさか、こんな田舎で「マンデリン」を飲むことができるなんて思ってもいなかった。
 

 



仏頂造りの家
 仏頂造りの家は雨戸が上下7対3ぐらいで、上部を揚げると庇になり下部を下ろすと縁台のようになっている家屋である。「昔はここで茶飲み話をしたり将棋を指したりしたものですよ」と懐かしそうにこの家の主が話してくれました。若い人が都会へ出て行ってしまうので、そんな昔の風情はなくなってしまったとも言っていました。
 仏頂造りの語源を訊いてみたが、知っている人はいませんでした。



  
おじさんが、仏頂造りの庇を上げ、縁台を下して説明してくれた



旧吉良川郵便局は大正15年に建築され、昭和40年まで現役の郵便局として使われていた。
現在でも、鬼瓦には郵便局であることを示す「〒」マークが付いている。
 



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