上 条 集 落

( 山梨県甲州市塩山  平成28年7月21日 )

 塩山の上条集落は甲府盆地を眼下に望む山麓に位置する山村集落であり、江戸時代中期から昭和にかけて建てられたこの地域独特の形式の民家や蚕室がまとまって保存され、それらが周囲の畑地や自然環境と一体となっています。
 江戸時代以来の伝統的な集落の形態を留めていて、国の伝統的建造物群保存地区に選定されています。




 甲府盆地から東京青梅に通じる青梅街道(国道411号線)小田原橋から2キロほど緩やかな坂を上がった所に小さな集落があり、この集落が上条集落です。
 金剛山と呼ばれる舌状台地が南北方向にはしり、台地北端の台地北端の付け根部分に観音堂を馬蹄形に囲むように雛壇状の集落が形成されている。






 甲府盆地東部に広く分布する茅葺切妻造りの建物は甲州市には多く残っているが、上条集落のように一つの集落内にまとまって残っているのは稀です。
 茅葺切妻造りの建物の大きな特徴である「突き上げ屋根」は「煙出し」、「明かり取り」とも呼ばれ、明治時代になってから養蚕の振興に伴い付加されたものです。






甲州民家情報館



 養蚕が廃れた後、養蚕に代わって果樹栽培が盛んになり、桑畑や棚田にはそのままスモモや桃、ブドウが植えられが、集落内には伝統的な突き上げ屋根の主屋や蚕室が多く残されています。






集落の中央に観音堂が建っていて、集落の集会所を兼ねている。
18世紀末ごろの建築と推定されていて、中には一木百観音像が祀ってあります。

観音堂



金井加里神社


 重要伝統的建造物群保存地区は、歴史的建造物が単体ではなく空間として保存するものであり、市町村が決定したものの中から、特に価値が高いものを国 文化庁が選定しているものです。
 現在、全国で110ヶ所が選定されていますが、上条集落は平成27年に110番目の地区として保存地区に選定されました。


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