摂 田 屋

 大分以前から気になっていた新潟県長岡市郊外の摂田屋(せったや)へ行ってきました。
 摂田屋は旧三国街道沿いにある町で、江戸期から醸造業が盛んで今も6軒の醸造会社が明治期の歴史的建物と共に残っています。    

( 平成27年8月4日〜5日 )



 上越新幹線 長岡駅から一駅の宮内駅に降り立った時の気温は35度の猛暑日、とにかく暑い。駅から歩いて10分程で旧三国街道の入り口に着いた。 
 三国街道は中山道の高崎から分かれ北陸街道の寺泊に行く街道で、上野(群馬)、信濃(長野)、越後(新潟)が接する三国峠を越えることから、この名が付いたと言われている。
 三国街道の入り口にお稲荷さんが祀ってある。日本三大稲荷の誉れ高い宮城県竹駒稲荷から勧請された由緒正しいお狐様だそうで、2匹のキツネの表情がユーモラスである。

 



越のむらさき
 竹駒稲荷の向かいに老舗の醤油や「越のむらさき」が建っている。創業天保2年、長岡藩時代に始まった醤油造りは180年に渡ってその味を引き継いでいる。今も現役で使われている明治10年建築の母屋と土蔵は登録有形文化財に指定されていて、母屋の玄関を入ると、事務所の脇に「陸軍御用」と書かれた古い看板が掲げられている。  



  
醤油造りの樽とレンガ造りの煙突 古い看板



サフラン酒本舗の鏝絵

 「越のむらさき」から5〜6分歩いた所に見事な装飾を施した蔵が建っている。「機那(きな)サフラン酒本舗」の土蔵蔵だ。かって、養命酒と勢力を二分したサフラン酒で得た富を惜しげもなく使って建てた主屋・蔵や庭園は見事である。
 サフラン酒はまだ細々と作られていて、サフラン・蜂蜜・甘草・丁子など10数種類の植物で作られたアルコール分14%のお酒は美味であり、1本お土産に買ってきました。  。






 


 最初にこの蔵を見たとき、漆喰で形を作って、その後に彩色しているのだと思った。しかし、この家の人の説明によると、あらかじめ色の付いた漆喰を捏ねているのだとのこと。そのため、風雨にさらされても色が落ちることがないそうだ。  

 そもそも鏝絵とは、民家の母屋や土蔵の壁、戸袋などに様々な意匠でレリーフしたもので、江戸時代末期に入江長八によって作られたのが起源と言われている。この入江長八こと「伊豆の長八」が江戸日本橋の薬師寺建立にあたり、柱に漆喰で龍をこさえたことが有名になり、その後その弟子たちの多くの左官によって全国に広まった。



手造り味噌 星 六

 サフラン酒本舗からさらに進むと古い建物が建っている。老舗の味噌や「星六(ほしろく)」。ここの土蔵も明治中期に建てられたもので登録有形文化財に指定されている。中を見ることは出来ないが、店舗は昔懐かしさを感じる建物である。写真を撮っていたら中から女将さんが出てきて「冷たいものをどうぞ」と言って店中へ招じ入れてくれた。

 娘さんが淹れてくれた冷たいお茶を飲みながら、この店で作っている豆麹味噌・米味噌・麦味噌のことを話してくれる。この女将さんは「私は東京からここへ嫁にきたの」と言う。なんでこんな田舎に来たのか、訊きたい気もしたがそれはやめといた。
 あまりにも話がはずんだので、米味噌をお土産に買ってしまいました。  








 この後、吉乃川酒造・長谷川酒造などいずれも150年以上の歴史がある蔵元を巡り、最後に戊辰戦争の際に長岡藩の本陣が置かれた光福寺を巡り、この日は長岡駅前のホテルに泊まった。
 そして、翌日も猛暑だったのでどこにも寄らずに帰ってきました。



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