水落山

 水落山(スラクサン)はソウルの北にそびえる標高638mの山で、北漢山、道峰山とともにソウル三山と言われている。韓国では登山がポピュラーなスポーツであり、ソウルから近いこの山は人気の山である。
 
 ソウルで乗った地下鉄はリュックを背負った人で満員であり、登山以外の乗客はほんの数人しかいない。1時間ほどで電車は水落山の登山口水落山駅に着き、乗客は一斉に降りて地上への階段を駆け上がって行く。この様を見て一昔前の谷川岳を目指す人の土合駅の光景を思い出した。
 地上に出て驚いた。雑踏を掻き分けるようにして歩くほどの混みようである。歩道の両脇は山登り用品を売る露店が並んでいて、空身で来ても山登りが出来るほどにあらゆるものを売っている。しかも信じられないくらいに安い。例えば、ストックは5,000ウォン、日本円で350円の安さである。
 舗装路を15分ほど進むとお寺があり、その脇に大きな登山路のコース案内図があったが、我々はハングルを読めないので、人の流れに従って登山路に入った。 
水落駅前の雑踏 登山口近くの露店 登山口のお寺の前

 登り始めは沢沿いのゆるやかな道だったが、次第に沢が細くなるとともに傾斜のきつい道になった。もう下ってくる人もいる。日本では登り優先という暗黙のルールがあるが、ここではそんなことはお構いなくどんどん下ってくる。
 1時間ほどでちょっとした広場があり、ここで初めての休憩。汗をかいてきたので上着を脱いで、ここからの正念場の岩場にそなえることにする。
 この山の山頂部は山全体が岩山になっていて、いたる所に奇岩怪石が多く見られる。頂上に近づくにつれ厳しい岩登りといった感じになる。もう山頂かと思ったらそのまた向こうにまた岩山がある。急傾斜の一枚岩の岩場には所々に登山靴の足がかりになるような鉄釘が埋め込まれているし、ワイヤーロープが張られていて安全性は確保されているが、かなり怖い岩場である。
山頂の岩 山頂の岩 山頂の岩 山頂直下の岩場 山頂直下の岩場 山頂直下の岩場

 難所を登りきって真新しい木製の階段を登ると、そこが水落山の山頂だった。あまり広くもない山頂は登山者であふれている。韓国の登山者は男も女も申し合わせた様に皆黒いズボンを履いている。そして、女性はまるでパーティーにでも出かけるかのような入念な化粧をしている。(そうでない人もいるが・・・・・) そして、みんな輪になってキムチ料理をつまみにマッコリ(韓国の濁り酒)を飲んでいる。山頂にはそれらを売る店もでているので、我々も1本買って飲んでみたら大変美味しかった。
 雲り空ではあったが、山頂からは一昨年に登った北漢山や仏岩山そして水落の街並みが望まれた。水落の町は高層マンションが林立している。
山頂で憩う人 山頂で憩う人 酒盛りの集団 北漢山 仏岩山 水落の街を見下ろす


 下山は岩場が少ない尾根沿いのコースをとることにし、2時間ほどで水落の町に下って水落山の登山を終えた。
 この後、ソウル近くの下町の市場に寄って海鮮料理や焼肉を食べ、キムチ・韓国のり・お酒を買ってから、深夜の飛行機で日本に帰った。   (平成21215日登る)