第 4 日
キボハット(4703)〜ウフルピーク(5895)〜ホロンボハット(3720)





深夜のアタック
 23時に起床。ポーターが持ってきてくれた熱いチャイとビスケット数枚を食べてから、山頂アタックのための身仕度。持参した衣類を全部身に着けてから、最後にゴアテックスの雨具とスパッツそしてスキー用手袋をはめた(オーバー手袋を買うのをケチったのが災いし、後になって手が痺れた)。
 深夜0時いよいよ頂上アタックの開始である。エリアを先頭にして体調不良な私が二番目で、最後尾にロメルとウォルター。月明かりがほとんどないので、ヘッドランプの灯りだけをたよりにして、富士山の砂走りのような砂礫の急傾斜の道をジグザグに登って行く。暗くて周りはよく見えないが、黒々とした人影とともに砂礫が舞い上がっている。ペースはゆっくりゆっくりではあるが、私にとってはかなりきついものであった。

 およそ2時間半程でハンスメイヤー・ケーヴに着いた。ここは浅い岩小屋のような岩がある所で、標高5150m。岩の前が少しばかり広くなっているので、休憩にはちょうどよい場所である。因みにハンスメイヤーはキリマンジャロに初登頂したドイツ人らしい。
 この頃になると、私の体調はさらに悪化し頭はボーっとしていて、この後の詳細は実をいうとあまりよく覚えていない。



ギルマンズ・ポイント(5685m)
 ギルマンズ・ポイントは富士山に例えれば浅間神社奥宮に当たる所で、ここまで登ればキリマンジャロに登頂したとして登頂証明書がもらえる。辺りは未だ暗い。
 ギルマンズポイント (5885m)  (帰路に撮った)


 ギルマンズポイントで休憩しているうちに徐々に明るくなり、東の空が最初は黒に近い赤い色調の線だった地平線が、少しずつ明るくなり夜明けとなった。一面の雲海の中に上がった太陽は神々しいほどに神秘的な光景である。



 体調は相変わらず芳しくない。メンバーに迷惑をかけてはいけないと思い、隊長に「ここで待っているよ」と告げたが、メンバー全員やガイドも「一緒に登ろう」と励ましてくれた。
 ここからは火口を右手に見下ろしながらガイドのエリアを先頭に緩やかな道を上り下りして、ウフルピークを目指すことになった。エリアは私の腕を驚くほどの力強さでつかんで私を引っ張っていってくれた。私のデイバッグはガイドに背負われている。
 ウフルピークが近づくにつれて氷河が大きくなり朝日に輝いてきれいなのだが、そんなのを眺めている余裕はない。エリアについて行くのに必死であった。




遂にキリマンジャロ山頂ウフルピークに着いた。

アフリカ大陸最高峰で見渡す限りの大展望だ。





持参した横断幕を前にして、ガイド3人を交えての記念撮影




ウフルピークから見た大きな氷河





ホロンボハットへ下山
 下山は登ったのと同じルートをこの日はホロンボハットまでであり、1日半かけて登ってきたコースを半日で下ることになる。
 ギルマンズ・ポイントまでは所々露岩の地帯であるが、ここを過ぎると砂礫の急坂になった。富士山の砂走りを下るようにかなり早いスピードで下り、またたく間に山頂の天気とはうって変わったガスに霞んだキボハットに着いた。ここまで下ると高山病の症状は幾分癒えていたが、まだ本調子ではない。

キボハットに着いた


 キボハットで食事をしてしばしの休憩の後、今日の宿ホロンボハットへ向けて下山した。
 ここまで下ったらガスも晴れているし山頂も眺めることが出来る。そして、体調も完全に回復している。高山病は高度が下がると治まる。ハットの前で横断幕を出したら外国の登山者が寄ってきてサインをしてくれ、記念写真の撮影が始まった。この横断幕は人目を引いたようだ。



 ホロンボハットは今回の登山の最後の山小屋になる。ここで今後不要になる防寒着(と言ってもドカジャン)、フリース、テルモス等をガイドにプレゼントして身軽になった。そして、ポーター全員に小さなハンカチをプレゼントしたら、とても喜んでいたが、これは隊長の発案であった。   (この日の行動時間 0:00〜14:00)


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