トムラウシ(2141m)は、大雪山国立公園のほぼ中央に位置し、旭岳に次ぐ北海道第二の高峰である。山頂に至るアプローチは、どこから登っても非常に長い。唯一、トムラウシ温泉からのルートが、何とか日帰り可能である。
前日夕方、トムラウシ温泉から車で20分ほどの短縮登山口の駐車場に着いた。ここからの登山道を使うと、トムラウシ温泉から歩くより1時間半ほど時間短縮出来る。前夜半に通り過ぎた台風一過特有の強い風が時折吹いていたが、夜は満天の星空だった。
午前4時起床手早く朝食を済ませ、辺りが白むのを待って熊避けの鈴をぶら下げての出発。トムラウシ温泉からの道と合流するまではなだらかな道であったが、そこを過ぎると、急坂でしかもぬかるみの多い道へと変化した。20分程でカムイ天上に到着する。以前は、ここから先は歩きにくい沢ルートであったそうだが、巻き道の新ルートが完成している。新道は、笹を刈り払った道幅の広い歩き易い道である。
新道は、再び旧道と合流するために、一旦沢へと下る。しかし、この下りがぬかるみの歩きにくい道であった。沢へ下り、しばらく平坦な登山道を歩くと旧道と合する。登山道は、沢沿いから、右方向のコマドリ沢へ入る。沢上部は、ガレ場の多い急坂であるが、ペンキ印を頼りに前トム平を目指して登って行く。
前トム平は、広く開放的な場所で見晴らしもよく休憩に良い場所である。この辺りはナキウサギが多いと聞いていたので、目と耳を凝らしたが残念ながらウサギを見つけることはできなかった。
前トム平からは、多くのケルンが立ち並ぶガレ場を進み、さらにその先の巨岩帯を越えると、美しいトムラウシ公園の池の畔へ出る。途中、巨岩帯から眺めるトムラウシは、うっとり見惚れてしまうほど素晴らしいものだった。その後、なだらかな登山道を登りきると、南沼キャンプ地へ出た。 ここから最後の急坂を登り、左に廻り込んで岩場をよじ登って10時半に山頂に着いた。
登山口から山頂まで、とても長い道のりであったが、山頂からの展望は、360度の大眺望の素晴らしいものであった。北には、旭岳を主峰とする長い大雪尾根、南西には、十勝、美瑛の山々を望むことが出来た。眼下には南沼の池やトムラウシ公園、谷間には万年雪があり、この展望を誰もいない山頂で一人満喫した。
下山は、往路を下って、4時半に無事下山。
台風一過のこの日、一日中晴天であったが、人が少なく出会ったのは神奈川県からの単独行者と南沼キャンプ地で幕営するという夫婦の3人だけで、休憩の時も熊が怖いので時折熊鈴を鳴らしていた。 下山後、トムラウシ温泉「東大雪荘」の広い綺麗な湯に浸かり、トムラウシ登頂の喜びにひたった。(平成17年9月9日登る)
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