山頂から知床東部の連山 |
羅臼岳(1661m) 岩尾別温泉「ホテル地の涯」の裏に木下小屋があり、5〜6台分の駐車スペースがある。前日夕方、ここに車を停めて車中泊。 周囲のざわめきで目覚め車外を見ると、一団が登り始めて行くところだった。急いで軽い朝食と身支度を整えて出発。歩き始めたのは午前5時だった。 登山口木下小屋前に登山届けのポストがあり、その横に「クマ出没注意」の立札が立っている。今回は熊避けの鈴をザックに一つ、さらにストックを持つ手の手首にも一つ付けた。 すぐにつづら折れの登りが始まった。エゾマツなどの樹林の道を40分ほど登るとオホーツク展望で、ここに「ヒグマ出没多発区間」の立札。読むと「この先、650m峰までの区間は、登山道上にアリの巣が集中し、頻繁にヒグマがアリを食べに来ています」と書いてある。足元を見ると、やや赤みがかったアリがうじゃうじゃと動いている。 尾根筋の道に出ると、益々そのアリの数が多くなってくる。普段はイヤホンで聞いているラジオ、スピーカーのボリュームを最大にして聴きながら歩く。オホーツク展望から40分ほど歩くと、アリが少なくなってきたのでほっとして、弥三吉水から少し登った極楽平で初めての休憩。 パンを食べて空腹を満たしたところで沢沿いの急坂を登る。このあたりは花の時期には高山植物が咲き乱れている所なのだが、盛期を過ぎているのでほとんど花を見ることができないのが残念だ。そのうち道はハイマツの中を行くようになり、やがて傾斜も緩くなって明るく開けた広い原へ出た。ここが待望の羅臼平だった。 羅臼平は羅臼岳山頂への道と羅臼温泉コ−スと三ツ峰・硫黄山方面への縦走路との分岐点であり、この山域の開拓者である木下弥三吉の記念碑がある。 羅臼平からはハイマツの中の道を山頂目指して登る。振り返ると青々とした羅臼平の上に、硫黄山へ続く知床連山東部の山々が見える。 大きなゴロ石を積み上げたような羅臼岳の山頂は意外に狭くて、山頂の標識を入れての記念写真を撮るのに順番待ちになるほどの賑わいだ。風が強く頭上は抜けるような青空だが、眼下は雲海に囲まれている。その雲海の東南の奥が途切れていて、国後島が大きく見える。 下山は登ってきた道を戻る。途中極楽平で休憩した以外は下り続けて、登山口に戻ったのは午後2時だった。エゾシカには出会ったが、熊に出会わずやれやれといったところだった。 この年7月、知床は世界遺産に登録された。初めて知床を訪れたのは昭和39年だったが、この年は知床が国立公園に指定された年だった。このときは自転車で北海道を一周したのだが、知床では羅臼で自転車を小船に乗せてウトロまで半島をぐるりと一回りした。 (平成17年9月17日登る) |
知床五胡からの羅臼岳 | 山頂の標識 | |
三ツ峰、その後に知円別岳・硫黄山に連なる山並 | 羅臼平からの羅臼岳 | |
エゾシカ | 650m峰の立て札 |