四国遍路の老婦人 

 平成24年秋に四国八十八か所のお遍路の旅をやった。息子はスタンプラリーだと揶揄した。 

34番札所 種間寺で納経を済ませてから木陰でポカリスウェットを飲んでいたら、お遍路のお婆さんが話しかけてきた。「この春に亡くなった息子の供養でお遍路をやっています」。この79歳になるお婆さんの息子は、嫁の実家の親との折り合いが悪くてうつ病になり自死してしまったそうだ。話を聴いてやることも供養だと思い、話を聴いてやりました。 

 35番清滝寺で言葉を交わした73歳の大阪の女性は、一回に5日間ぐらいの日程で繋ぎ繋ぎで全行程を歩いて回っている。「写真を撮らせてもらってもいいですか」と訊いたら、「今日は2回目のモデルなんですよ」と言って快く応じてくれました。

 別れしなに「次の札所まで車に乗りますか?」と言ったら、「ありがとうございます。でも、全部を歩きますので〜〜」 「あなたも、お気をつけてお遍路してくださいね」 上品な物言いのこの老婦人のどこにこんなバイタリティーがあるのだろうか。

2012,10,16

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