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愛媛の段々畑 「太陽が三つある」。愛媛県の沿岸部にはそんな言葉がある。太陽そのもの、海面からの照り返し、段々畑を形作る石垣の反射。 2012年秋に四国八十八ケ所お遍路の旅をした。その道すがらちょっと寄り道して、愛媛県西部に海辺から急傾斜の斜面に造られている段々畑がある集落を訪れた。 宇和島市の市街地から車で40分ほど走った宇和島湾に面した遊子水荷浦(ゆすみずがうら)という小さな集落がある。ここにペルーのマチュピチュを彷彿させるような段々畑が広がっている。急傾斜の斜面に等高線に沿うように小さな石を積み上げてひな壇状に段々畑が造られていて、この地方ではこの段々畑を段畑(だんばた)と呼んでいる。 段畑は幅1.5m、高さ1mで整然と並んでいて最上段までは6〜70段もあり、下を見下ろすと海がキラキラ光っている。段畑の最上段まで上がって行ったら、段畑を見下ろすように墓地があり、子や孫が段畑をちゃんと耕しているか見守っているかのようだ。この急傾斜の段畑で石垣の補修をしている人がいて、「放っておくと浜風で石垣は緩むし雑草が生えてくるので時どき手入れをしている」と言っている。段畑の維持も手間がかかることのようだ。 段畑を降りてきて周辺を散策していたら、この辺りでは見かけないような雰囲気の女性に出会った。化粧っ気はないが明らかに都会暮らしの雰囲気を醸し出しているこの女性は上品な口調で、 「夫の定年退職を機に神戸から移住してきたんですよ」 「”終の棲家”としての地をあちらこちら探したんですが、ここが一番気に入ったんですよ」 「気候が温暖で魚も新鮮で美味しいし、遊ぶ子と書いて”遊子”(ゆす)と読む地名、そしてなによりここの景観が気に入ったんですよ」 そして、「夫の海外赴任で10年ほどドイツやフランスで暮らしていた」とも言っていました。 2012,10,25 |
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